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第9回;幻の名演 [本日の1枚]

第9回はブルックナーの交響曲。前の記事で第九にも触れたのでそれこそ年始に相応しい選曲なのだろうが、ブルックナーの交響曲のディスクで作品を問わず何か一枚となれば絶対にこれという一枚を。

ブル8ヴァントBPO1996ME1043.jpg


ブルックナー;交響曲第8番ハ短調(ハース版)
ギュンター・ヴァント指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(1996年;ベルリン芸術週間ライヴ) 

というわけで、交響曲第8番である。 

ヴァントとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(以下BPO)による同曲の演奏には2000年のライヴ録音があり、BMGより正規盤として内外でリリースされ高い評価を得ているが、これは1996年に行なわれた別の演奏で、当時FMにて放送され伝説化していたもの。

演奏は非の打ち所がない。陳腐な表現ながら最高の演奏である。
なんと言ってもBPOの力量が素晴らしく、このオーケストラが超一流であることをいやがうえにも実感させられる。
BPOならではの緊張感と巨大なスケールを伴った第Ⅰ楽章はこの作品の真の姿を伝え、第Ⅱ楽章も、金管のバランスやティンパにに対するヴァント独特の解釈が決まっている。濃密に一瞬の弛緩もなく歌われる第Ⅲ楽章を経て、第Ⅳ楽章の最後まで各楽器が鳴り切る様は圧巻。
これと比べると上に紹介した2000年ライヴは残念ながら著しく劣る(これさえなければ名演に浮上するのだが)。

私にとってはあらゆる演奏家によるブルックナー全作品の全ディスク中(と言っても全部聴いているわけではないけれど-少なくともこれまでに私が耳にした中で)、最高の記録であると評価しているディスクなのだが・・・

実はこれ、正規盤ではない。Sardana、及びMemoriesから出ている(た)、所謂海賊盤もしくはそれに準ずる製品で、入手困難なのが残念。
海賊盤ながら録音はよい。寧ろメジャーレーベルの不要なトーンキャラクターが加味されていない分かえって生々しく、このオーケストラがドイツの楽団であることを改めて思い出させるよささえ感じる好ましいもの。

これが正規に録音され販売されていれば、同曲の録音史は全く違ったものとなっているだろう。
幻の名演たる所以である。


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